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さて、卒業生のみなさん。いよいよみなさんが、この伝統ある高峰小学校の学舎を巣立ち、中学校という新しいステージへと羽ばたく まさにその瞬間がやって来ました。みなさんとは、わずか一年という短い時間でしたが、命の輝きがます小学生時代を、ともに過ごせたことを本当にうれしく思います。
みなさんは、高峰小の児童として、諸事にわたって、本当によく頑張ってくれました。とりわけこの一年は高峰小の顔として、よきリーダーとして学校を引っ張ってくれました。最上級生なんだから当然と考える人もいるかもしれませんが、しかし、その当たり前のことをやり通すこと・持続することが、いかに難しいことでしょう。
みなさんは、いろいろな活動ごとに、各自が役割を分けあって、立派に勤め上げました。ひとりひとりの力はわずかだったかもしれませんが、まとまったその力は 高峰小を支える 大きな力になりました。当たり前のことが当たり前にできる、そしてそれを見事にやり遂げたみなさんは、私の自慢です。
そんな中でも特に、運動会でみせてくれた見事な団結力、一年生とのペアレクでのはじけるような笑顔、兄弟のような仲の良さで過ごした修学旅行、そして、連合運動会で友だちが一位になった時、自分のことのように喜びの涙を流している姿。これらを見たとき、「ともに学び ひびきあおう」という高峰小の学校目標を見事に達成してくれているという喜びが私の心にこみ上げてきました。
「人は 思い描いたとおりの 自分になる」と私は信じています。こんな人になりたい、こんなことができるような人になりたいという思いを持つことが必要です。みなさんには、この高峰小で培ったたくさんの力が備わっています。自分の描く夢、理想を高く掲げ、新しい世界に元気よくその一歩を踏み出してください。
みんなの旅立ちにあたり、次の二つの大切なことを餞(はなむけ)として送ります。
一つは、「高め合う集団づくり」の大切さです。学校だけでなく社会は、様々な個性を持った人たちが集まり、その集団の中で生活していきます。ひとりで生活していくことはできません。だからこそ、集団の中にあって、個々の力を伸ばすことのできる良い集団づくりができるかどうかが大きな意味を持ってきます。
良い集団づくりのためには、ひとりひとりがやらなければいけないことがあります。決まりやマナーを守ること、丁寧な言葉遣いやあいさつ、自他を尊重した仲間づくりを心がけること、集団の一員として役割や責任を果たすことなどが大切なことです。これらの基礎になることは、高峰小での6年間のあらゆる場面で学んだことです。 中学校では、その意味や意義を理解し、高め合う集団の一員として、必要なことをしっかりする中で 自分の力を伸ばし、それぞれが持っている素敵な個性を発揮していって下さい。
二つ目は、「感謝と出会いを大切に」ということです。 今日の卒業式を立派に迎えられたのは、自分の努力だけでなく、出会った大勢の人たちの支えがあったからこそです。保護者の方をはじめ、家族、地域の方々、小さい頃からお世話になった先生方などが陰になり、日向になり見守っていただいたからこそ今日の日があるのです。ぜひ、まわりの人に感謝する心を忘れないで旅立っていって欲しいと思います。 これからのみなさんは、心身共に成長し、親や教師に頼らず、自分で考え、自分で判断し行動するようになっていきます。しかし、まだ社会的な経験に乏しく、精神的にも未成熟であり、自分の考える理想通りにはいかず、悩むことや苦しむことも多いはずです。悩みや苦しみを力強く乗り越えていくためには、まわりの支えが必要です。お互いが信頼と尊敬で結ばれた友人やまわりの人々こそが大切なのです。みなさんは、これから先、多くの人たちとめぐり会います。その人たちとの出会いの中で、人に感謝する心、人に尽くす喜び、人を認める素直さ、そうしたことを身につけることで人生はとても豊かになります。その出会いを大切にし、価値ある人間関係を広げていって欲しいと思います。
最後に、かけがえのない人生のほんのひとときでも、ここにいるみんなが共に過ごせたことに、感謝したいと思います。人と人が出会うことは本当に奇跡的なことです。この奇跡の不思議を、私の大好きな池田晶子さんは「僥倖」と言っています。別れることを恐れるより、出会えたことの僥倖をじっくり味わいたいと思います。
卒業生のみなさん。この高峰小で一緒に過ごした 友人や先生たちの笑顔、優しさ、思い出を心の支えとして、みなさんが中学校生活で活躍されることを心から願うと共に、未来を託すみなさんの限りない前途に幸多かれと祈り、式辞といたします。
平成28年3月23日
神奈川県愛甲郡愛川町立高峰小学校長 髙 木 光 人